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デザイン関連書籍を中心にまとめや感想を書きます

鳥海修『文字を作る仕事』

文字を作る仕事

文字を作る仕事

本書はフォント制作会社「字游工房」主宰の著者による自伝である。どのように文字づくりの道を目指して、何を作ってきたのか。何に影響を受けて著者の思想は形作られていったのか。「水のような、空気のような」書体を目指して活動してきた37年を振り返るという内容である。書体制作の現場を垣間見る気持ちで、平易な文章を楽しく読める。

大きく分けると二部構成になっていて、前半は著者の過去を振り返る章、後半は影響を受けた人々とのエピソードを集めた章となる。書体の作り方を次世代へ繋いでいく活動の紹介もある。

感想

著者が若い頃の話やロールモデルとなるような人との出会いが綴られているが、小さなきっかけが大きく花開いて「水のような、空気のような」書体を目指すというところへと繋がっていったということが分かった。

「自然」なものへと向かう価値観は特に新しくもなく、多くの人が持っているものだと思うのだが、徹底的に自らのフィールドでそれを体現しようとする姿勢こそがすごいのだと思う。普段何気なく目にしている文字の背後にあるストーリーは、聞いていて飽きない。

游明朝体の制作が「小説が読めるふつうの書体」を目指してはじまったというくだりを読んで、無性に小説を読みたくなった。

ものづくりの勇気をもらえる一冊としてお薦めしたい。

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