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ヘイドン・ピカリング『コーディングWebアクセシビリティ』

コーディングWebアクセシビリティ - WAI-ARIAで実現するマルチデバイス環境のWebアプリケーション

コーディングWebアクセシビリティ - WAI-ARIAで実現するマルチデバイス環境のWebアプリケーション

  • 作者: ヘイドン・ピカリング,Heydon Pickering,伊原力也,太田良典,株式会社Bスプラウト
  • 出版社/メーカー: ボーンデジタル
  • 発売日: 2015/03/27
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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本書は、キーボードやスクリーンリーダーからの利用を考慮した、だれにでも使える有意義なインタラクションの作り方について解説している。リッチなWebアプリケーションの裏側に存在するアクセシビリティの問題は、Web開発者にとって見逃すことのできない問題である。それを解決するための手法として、著者はWAI-ARIAを紹介している。

セマンティクスの重要性

インクルーシブな方法で、Webアプリケーションの性質と情報を伝えるために、開発者は文書のセマンティクス(情報の構造が「意味的」であること)を意識することが重要である。キーボードやスクリーンリーダーを使っているユーザーであってもWebを使うことができるようにする必要がある。

HTMLはもともとセマンティックな言語ではあるが、Webアプリケーションの高度化や複雑化によって、ネイティブのHTMLのみでは、実際に必要なセマンティクスや動作が適切に組み込めていないことが多い。その場合、一部のユーザーに対してコンテンツが適切に提供されず、情報の欠如や本来ならば不必要な情報探索が求められることが往々にしてある。そのような場合に、必要なセマンティクスを提供するための手法としてWAI-ARIAを活用することができる。

WAI-ARIA とはなにか

WAI-ARIAとは、W3Cのウェブアクセシビリティを専門分野として扱うために発足した分科会「WAI(Web Accessibility Initiative)」が提供するARIA(Accessible Rich Internet Applications)リソースである。これは、ネイティブなHTMLにセマンティクスを付与し、Webアプリケーションのアクセシビリティを向上させることに貢献する。

ARIAの2つの目的

  • 手当の策
    • コーディングが不十分でセマンティックではないマークアップが支援技術に対して提供する情報を改善する
  • 拡張
    • 複雑なWebアプリケーションにおいて、ネイティブなHTMLが本来備えている基本的なセマンティクスを超えた、意欲的な取り組みをアクセシブルに伝えるために、これを支援する

ロール・ステート・プロパティ

WAI-ARIAによって、以下の情報を支援技術に伝達することができる。

ARIA使用のルール

WAI-ARIAは新たなセマンティクスを提供するが、闇雲にこれを使用すればよいわけではない。上述したように「手当の策」として、あるいは「拡張」するために使用できる。

  • ネイティブのHTML要素や属性が存在するならばそれを使用する
  • 本当に必要な場合を除いて、ネイティブのセマンティクスを変更しない
  • すべのインタラクティブARIAコントロールは、キーボードで使用できなくてはならない

アクセシブルなデザインのために気をつけること

  • 適切なマークアップがなされているか
  • ランドマークは適切か
  • ユーザーの関心と提供されるコンテンツに齟齬はないか
  • 同じコンテンツが繰り返し提示されていないか
  • ライブリージョンを活用できないか

感想

具体例が豊富で、やや難しい印象のWAI-ARIAを簡単に概観できる。WAI-ARIA自体についての説明も多いが、そもそも適切なマークアップが大事であることを再認識させてくれるし、支援技術を利用しているユーザーが実際何に困っているのかについてもインタラクションの例から知ることができる。具体的な仕様について知るには、他の文献にあたる必要がある。

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