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デザイン関連書籍を中心にまとめや感想を書きます

ロジェ・カイヨワ『遊びと人間』

遊びと人間 (講談社学術文庫)

遊びと人間 (講談社学術文庫)

親しくしている友人が読んでいたり、あるいはほしい物リストに追加していたりするので、これは自分にも関係がある書物なのかもしれないと思って手に取った。結果的には広範囲に及んで楽しく読み進められたし、これまで自分が手に取ってきた書物との関連もそれなりにあった。

カイヨワによる遊びの定義と4つの性質

遊びという言葉の言語的な意味について言及する序論を経て、第一章においては、ホイジンガが成した遊びの定義を参照しながら、これを遊びと聖なるものとの関係や遊びと物質的利害に関する側面から批判し、遊びの基本的な性格を受け入れ、カイヨワは遊びを6つの項目として定義する。しかし、これらはあくまで形式的なものにとどまるとして、これらの前提そのもの、つまり遊びを支える意識の性質を、分類・考察しようとする。そこでカイヨワが提案した4つの項目がアゴン(競争)、アレア(運)、ミミクリ(模擬)、イリンクス(眩暈)という4つの性質だった。また、それらの項目の横軸として、喧騒から規則へのベクトル、つまりパイディアとルドゥスを定義する。

遊びの拡大理論

4つの性質の特性を振り返りながらそれらの類似性と組み合わせを考察してゆく。アゴンとアレアの、あるいはミミクリとイリンクスの結びつきを「シンメトリな関係」や「能動的と受動的な関係」などといった点から導き出す。カイヨワによると、ミミクリとイリンクスによって支配された社会は原始的社会であり、アゴンとアレアによって支配された社会は秩序のある社会であるというふうに述べられ、断りの言葉を交えつつも、前者の拒否と後者の支配によって文明の発展が得られると思弁をふるう。いくばくかの進歩史観が垣間見られるが、個別の事例についてみれば、興味深い慣習や規則などの記述も多く面白く読める。

補論

補論では『偶然の遊びの重要性』、『教育学から数学まで』、『遊びと聖なるもの』、の3つの論が展開される。遊びのエッセンスが様々な領域に浸透していることが感じられる。

感想

デザインに従事するものとしては、やはり自分の生業が<遊び>とどのように関わってくるのか、果たしてこの仕事は遊びなのかという疑問が始終頭の片隅にあり、それのヒントはどこかにあるだろうかと探しながら読み進めていた。結果的に左の問いに対する明確な答えは得られなかったが、遊びの堕落における運動選手や俳優のくだりには、近いものがありそうである。あるいは、遊びの6つの定義に戻るか。そもそも著者はその点にフォーカスしていないので、簡単な表現のみでするっと次にいってしまったのもやむなしなのだが。

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